不動産登記実務の流れ/その②-1(見積り編ー注意点)
不動産登記見積編その2は「見積作成時に注意しておくべきポイント」です。
少し多いので数回にわけてご紹介していきます。
注意ポイント①
・ニシシさん(不動産売買新人営業さん)に資料として貰った全部事項証明書(登記簿謄本)はいつ取得されたもの?
不動産の全部事項証明書には取得の日時が記載されています。この日付が古すぎるものは要注意です。
例えば売主さんが不動産を取得した当時のものや、売買契約をした当時の数か月前に取得したものなどの古いものであった場合、現在までの間になにかしらの登記が入っている可能性があります。滞納処分による差押えや新たな担保権の登記などが入っていて必要な登記を見落とすと致命傷になりかねません。事務所によって対処パターンは変わってくるとは思いますが、私は少なくとも1か月以上前のものであれば新しいものを再取得してからチェックしています。
注意ポイント②
・売買契約書に記載されている物件と資料としてもらった全部事項証明書の物件は一致している?
売買契約書には物件の「所在・地番・地目・地積・家屋番号・構造・床面積」等の全部事項証明書に記載されている内容が表示されているはずです。
この情報がもらった全部事項証明書と一致しているか確認してください。全く違う案件の資料をもらっている可能性もありますし、足りていないという事もありえます。契約書に誤記載があるならジニシシさんにその旨伝えて、契約書の訂正をお願いすることも必要になってきます。
注意ポイント③
・売買契約書の特約部分などに普段とは違う記載が入っていない?
売買契約書には特約部分といわれる個所に、「売主は所有権移転までに○○する」「売主が○○の不動産を取得できなかったときは~」などの当該契約のみに適用される特約が入っていることがあるのでよく確認しておく必要があります。「売主は当該建物について取引までに滅失登記を完了させる」などの重要な情報が記載されている可能性があります。ほかにも、伝えられている取引日が契約書記載の残代金の払い渡し日以降になっているなら契約書の変更同意書が作成されているかもしれません。
注意ポイント④
・売買契約は当事者本人が締結している?
売買契約書の当事者署名欄に「○○代理人○○○○」という記載がある場合は取引の当日も代理人が出席する予定であり、ご本人は当日も欠席されるという可能性が高いです。ニシシさんにしっかり出欠の確認をして、必要なら事前面談するための費用・掛かる交通費などの実費も見積金額に忘れずに記載しておく必要があります。また、当事者が未成年である場合は代理人は両親である必要があるなどの注意点もあります。