不動産登記実務の流れ/その④ー2(見積り編ー登録免許税の減税について(租税特別措置法72条第1項1号))
お久しぶりの実務の流れシリーズです。
ブログに当事務所の看板犬紹介のシリーズを作ろうかと考え中なのですが、そうするとますますこの実務シリーズがおろそかになる恐れがありますので現在のところ検討中です(笑)
では、まず登録免許税の減税について今回は基本的なものである「『売買』による『土地』の所有権移転」登記の減税措置です。
通常所有権の移転登記に必要な登録免許税は、不動産評価額の1000分の20とされていますが、これが1000分の15となります。
この減税は「租税特別措置法第72条第1項第1号」が適用される場合に発生するものです。
今回の減税に限らず、減税の適用を受けるには条文名を登記申請書内に記載しておく必要があります。この記載がない場合は条件に適合していたとしても減税の適用を受けることができないのでご注意ください。
適用条件としては、
①対象不動産が「土地」であること
②所有権取得原因が「売買」であること
③令和8年3月31日までの期間である事
となります。
①について
対象不動産が土地であれば大丈夫です。土地と建物を同時に購入したような場合は土地につき1000分の15、建物につき1000分の20で計算して合算するという形になります。
ちなみに司法書士試験としてはこの軽減措置の適用がないものとした形で出題されるので、実務未経験で試験合格後に業務を開始した場合は意外と忘れそうになります。まさに私がそうでした...
②について
これは意外と気を付けておかなければいけないのですが、あくまでも「売買」の場合のみというのがポイントです。
「土地は減税が利くので1000分の15だな」という事になれてしまうと、うっかり「贈与」や「交換」などの売買以外を原因とする所有権移転登記のときに登録免許税の計算が合わなくなってしまうという事態が発生します。
③について
これはそのままですが、令和8年3月31日までに申請する登記に関してのみこの減税措置が使えるという事です。
ただこの期間指定については過去なんども延長され続けている経緯がありますので、いつまで使える制度なのかは常に把握しておかなければならないという事です。
法務局のホームページ等で延長有無や期間について簡単に確認することができます。