勝ち続ける個人投資家のニュースの読み方/玉川洋介

少し前の書籍になるので、現在の動向を踏まえる必要があると思いますが投資についての考え方がかなりしっかり書かれている書籍です。

いつものように下記に本書の内容で大切だと思われる箇所につき抜き書き等残していますが、正直個人的にはかなり難しい内容だと感じました。投資を生計維持の方法や職業にしているわけではなく、本業の合間での資産管理という側面で行うというようなスタンスの場合にはここまで考えなければいけないくらいならもう貯金でいいんじゃない?という感想を持ちました。

資産管理に対する私の能力値がポンコツなだけかもしれませんので、下記の内容を見てピンとくる方は一度本書を手に取ってみてもよいのではないでしょうか。

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●本書で学べるポイント

・ニュースの読み方

 全体のストーリー、米国市場、欧州市場、日本市場

投資で勝ち続ける為には、何らかの「事実」に基づいて予想を行う必要がある

事実=ニュース

・世界の金融市場は「17のマス」と「4つのプレーヤーでできている」。

米国欧州日本その他
為替
債権
不動産
商品

投資とは上記のマスの中で起きた出来事に対して、4名のプレーヤー(「中央銀行(FRB・ECB・日銀)」「金融機関」「機関投資家」「個人投資家」)のマネーが次にどこに集まるかを予想するゲームである。

●市場のストーリーを把握する

 アメリカの量的緩和政策から今に至るまでのストーリーを理解する。

・簡単な審査ですぐに融資→サブプライム層へも多額の融資→住宅バブル崩壊→ローンの焦げ付き→多くのアメリカ金融機関が破綻→リーマン・ブラザーズ破綻→サブプライム危機が本格化

・バブル崩壊→銀行に多額の貸し倒れ→銀行の破綻懸念→銀行の破綻はパニックを引き起こす→銀行再建の必要性→再建にお金が必要→最終的に税金投入

・サブプライム危機から立て直しが必要→利下げによる景気刺激だけでは自律回復できない状況→FRBが銀行の不良債権買取→買取に必要なお金を増刷→量的緩和の始まり

・サブプライム危機発生→住宅ローン証券価格暴落→銀行の信用が損なわれる→金融危機の収束→銀行の信用回復→銀行社債が大幅高

・米国量的緩和拡大見通し→米ドル増刷による希薄化懸念→米ドルの信認低下→金・不動産・株式などへ資金流入→資産インフレ→不動産価格上昇→FRBが買い取った不良債権も健全化

・量的緩和や低金利を続けることには副作用あり→低金利政策終了の必要性→しかし利上げは金融市場や経済に打撃→FRBのフォワードガイダンス→市場は利上げ準備で衝撃緩和→適切なタイミングを見計らって利上げ予定

・雇用、不動産など米国実体経済の回復を確認→金融市場も底堅いことを確認→新たなトラブルがなければ2015年度末に利上げ?→その後、何度かに分けて少しずつ利上げ→景気回復の妨げにならないよう慎重に→正常な経済環境へ

・米国利上げと他国利下げ→米ドル高→米国貿易収支に悪影響→米国の景気回復に水を差す懸念→世界経済に悪影響

●アメリカ市場を読む

・借りやすく使いやすい米国の社会システム→米国人は日本人よりお金を使う→米国GDPにおける個人消費の寄与率高い→ブラックフライデーの売れ行きチェック→小売業績を占う→景気動向を推測→投資判断の材料にできる

・インフレ目標設定→緩やかなインフレ→物価上昇→ものが高く売れる→企業業績向上→給料の上昇→株・不動産上昇→金利上昇

・「米国×為替」にマネーが集まり米ドル高→米国の貿易が弱まり「米国×株」に悪影響→米国景気悪化→強すぎる米ドルに対して政治的介入→「強い米ドルは国益」に逆行→為替市場では米国為替政策の本音と建前を知る必要性

・かつてエレクトロニクス産業は日本のお家芸→半導体・電子機器はアジアの時代に→日本の主要産業が衰退→「日本×株」から「新興国×株」にマネー流出→IT産業のトレンドが金融市場にも影響→ITと金融の両方を理解する必要性

・バーゼルⅡ規制→サブプライム危機で規制改善の必要性→バーゼルⅢ登場→銀行がリスク資産売却→ジャンク債値崩れ→市場ルール変更が資産価格に影響を与える→投資家は最新の市場ルールを意識する必要性

・米国利上げ→「米国×債権」下落(金利上昇)→「米国×為替」の魅力が高まりマネー集中→米ドル高→利上げと通貨高は「米国×株」に逆風で資金流出→株式投資家も金利動向に注目する必要あり

・米国利上げ→「米国×再建」下落(利回り上昇)→ハイイールド債魅力減→ハイイールド債下落(利回り上昇)→資金の米国回帰(リパトリエーション)→新興国経済に打撃?→米国利上げで値下がり可能性のある商品を確認すべし

・ハイイールド債価格上昇→利回り低下→新たに高リスク高利回りのジャンクローン登場→ジャンクローン市場にマネー集中→バブル崩壊懸念→崩壊した際に金融危機を引き起こす可能性→債券市場の動向に注目の必要あり

・景気回復→最初に一等地の不動産上昇→徐々に周辺に伝播→地方は遅れて回復→地域別の不動産市況から景気回復の度合い判定→ケースシラー指数が活用できる

・中国やロシアの富裕層増加→自国の経済や政治は信用できない→海外居住権取得して不動産購入→「新興国×株」マネーが先進国不動産に流入→米国一等地の不動産が史上最高値更新→富裕層同行は市場全体の行く先を占う材料に

●欧州市場を読む

・露米中など大国に押しつぶされないためには欧州団結が必要→EU結成→ECBが舵を取る統一通貨ユーロの使用で財務安定→EU内で人・モノ・カネを共有して1つの強い欧州に→機器を共同で乗り切る互助機能もあり→経済や思想の違う国との折り合いをつけることが課題→EUの仕組み理解が欧州投資には必須

・サブプライム危機→ギリシャ財政の粉飾露呈→欧州債務危機→ドイツは量的緩和に反対で調整に時間を要した→ようやくECBが量的緩和決定→EU各国の国債買い入れ開始

・ECBの量的緩和期待→ECBは国債を買うだろうという思惑→先回りしてEU各国の国債が買われる→国際価格の高騰(利回り低下)→信用力の低いPIGS諸国の国債も値上がり→欧州国債市場は信用力を反映しない歪んだ価格形成

・ユーロの信頼失墜→スイスフランに資金集中→過度なフラン高→スイスの為替介入(フラン売り・ユーロ買い)→ユーロが値下がりを続ける→スイスの突然の為替介入中止→フラン暴騰

・ギリシャの放漫財政→資金が底をつく→EUに援助要請→緊縮財政を指示される→だが年金が減り税金が増えるのは避けたい→財政再建の条件折り合わず→交渉長期化で不安定続く→EU分裂すれば金融市場に衝撃

・ロシア財政は原油輸出収入に依存→原油価格下落とウクライナ問題による経済制裁→ロシアルーブル大幅下落→ロシア国内で悪いインフレ発生→欧州のロシア人富裕層マネーも不活性化→欧州経済にも悪影響か?

・シェールガス革命で米国が資源大国に→アラブ諸国は面白くない→OPECは原油供給を増やして価格下落させる→米国シェールガス産業潰し→米エネルギー企業の債権価格にも飛び火か→ロシアやベネズエラなど他の資源国家にも悪影響→中国が資源国へ手助けで存在感増す

●日本市場を読む

・不動産バブル発生→総量規制で不動産融資停止→不動産市場崩壊→銀行システム機能麻痺→経済活動縮小→抜本的な対策出せず→失われた20年でデフレマインド定着

・不況対策で日銀は低金利政策→銀行には貸すお金がなかったわけではない→バブル期の反省→金融庁の厳しい検査→銀行の融資拡大マインド低下→銀行は融資の代わりに国債購入→その利回りで生計を立て融資はしない→マネーの流れが滞り不景気に

・アベノミクス1本目の矢は金融政策→日銀が銀行保有の国債買取→銀行に融資を促す→融資が増えて企業活動活性化→消費と給料も増える→日本の景気回復が本格化?

・アベノミクスで金融緩和開始→外国人は構造改革以外に日本に道はないと考えている→海外の反応は冷ややか→海外投資家はアベノミクス第3の矢を求めている→しかし、既得権益の解体や新産業の育成は困難→第3の矢が期待薄なら長期的には不安も?

・追加緩和で日銀が国債をさらに購入→銀行は国債を買えなくなった→カネ余りが本格化→仕方なく株や不動産での運用を増やした→一部の資産はバブル化→まだ資金は融資に回っていない

・追加緩和以降はマインドも多少好転→銀行は少しずつ投資や融資を拡大→少しずつ実体経済を温めている→アベノミクス1本目の矢「大胆な金融政策」の効果あり?→だが、まだミニバブルの頃ほど融資に積極的ではない?→小さな変化から日本市場の先を予測できる日本人の強みを生かすべき

・日銀の日本株買い支え→GPIFも株を購入→他の基金も株を購入→ゆうちょ・かんぽも追従→国策相場に売りなし→日経平均2蔓延達成→アベノミクスで足は好調だが、まだゴールではない

・株価や不動産は上昇→富裕層には恩恵→しかし、それらはインフレ率の計算には含まれない→インフレ率上昇では低所得世帯の多く支出するモノが値上がり→金持ち優遇策で一般家庭には逆風と言われる→インフレで恩恵を受ける資産を考えるべき

・財政赤字と貿易赤字で膨大な借金→国債乱発と量的緩和→財政規律の乱れ→地震や事故などのトリガー→日本への信頼失墜→海外からの売り→為替・株・国債トリプル安→国債暴落?→ハイパーインフレ?

・日本は借金の額以上に資産が多い→財政破綻することはない→しかし、アベノミクス失敗で財政悪化なら増税は必至→富裕層の資産を税金として接収して財政赤字を埋めることに?→危機回避にはアベノミクスの成功が必要→国策と日本経済の行方を自らの頭で考える必要性

●アメリカ利上げの3つの条件

  1. 米国の雇用(失業率、非農業部門雇用者数)
  2. 不動産市場(住宅着工件数、中古住宅販売件数、新築住宅販売件数)

●証券市場で注目されているスマホ周辺企業(2015)

・台湾TSMC(半導体)

・台湾フォックスコン(電子機器の製造受託)

・英ARM(CPUのロジック)

●銀行のレバレッジ=自己資本比率(返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%を占めるか)

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