舞踏会/芥川龍之介
名門令嬢の明子17歳。教養としてフランス語と舞踏が堪能で非常に美しい女性。
父親に連れられて初めて鹿鳴館での舞踏会に参加すると、その美しさから周囲がざわつく。
その中でフランスの海軍将校に誘われダンスを踊る。
バルコニーにて休憩しつつ、「パリの舞踏会もみてみたい」という明子に対して「どこも皆同じですよ」という海軍将校。打ち上がる花火をみつつ「お国のことを考えているのですか?」と尋ねる明子に「花火について考えています、我々の生のような花火について」と語るところで第一部が終わる
第一部から32年後、H老婦人(明子)と記者で乗り合わせた青年小説家との会話が始まり、H老婦人は舞踏会で知り合ったフランス海軍将校についての話を始める。
青年がH老婦人に対して海軍将校の名を尋ねると、H老婦人は「ジュリアン・ヴィオーと仰る方です」と告げると青年は「あの『お菊夫人』を書いたピエールロティだったんですね!!」と興奮するが、H老婦人は「いえ、ジュリアン・ヴィオーと仰る方でしたよ」と不思議そうな顔をした。
初めて参加した舞踏会に対して憧れを抱く明子と、明日の命すらわからない軍人である海軍将校との温度差。
過去に知り合った人が著名人であったという事実に興奮する青年と、過去の甘い思い出に価値を感じるH老婦人との温度差。
またピエールロティという小説家は実在しており、本名は「ジュリアン・ヴィオー」。この「舞踏会」という作品はロティの「江戸の舞踏会」という作品を下敷きにして書かれた作品です。