華氏451度／レイ・ブラッドペリ

華氏451度──この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうした昇火士(ファイアマン)のひとりだった。だがある晩、風変わりな少女とであってから、彼の人生は劇的に変わってゆく……（あらすじより）

この物語は本を禁止する世界のお話です。

本を読むことはもちろん所持しているだけでも昇火士（焚書官）と呼ばれる人がやってきて、本のみでなくその家ごと燃やしてしまうし死刑にもなってしまう。

人々に与えられた娯楽は猛烈なスピードで意味もなく流れ去っていく何の内容もないテレビやラジオのみ。

そのことに何の疑問も感じず何も考えずに生活を送っている人間が良い人間であるとされている。

しかし、昇火士をしている主人公がある少女と出会い、その世界に疑問を抱き始め地味ーに行動していくという内容です。

政府の圧力から始まるメディアの報道管制や情報操作、またはテレビやラジオなどの既得権益から与えられる意味をなさない娯楽による文化の崩壊を危惧し皮肉っている作品です。現在では各種SNSなどもこれらに該当してきているのではないでしょうか。

タイトルの「華氏」とは主にアメリカ合衆国において使われている温度の単位のことで、我々日本人が普段使っている「摂氏」とは基準点が異なります。ちなみに華氏451度とは摂氏233度のことであり、あらすじにも書いてある通り紙の発火点の温度のことです。